新・今日も今日とて

35歳OLの日常(統合失調症と共に生きる)

私はあの人の力になれているのだろうか

秋晴れの金曜日です。

私は大学に通っていた時に一人暮らしをしていました。ある時インターネットの回線を契約して工事の人が来た時のことです。その時の私は勉強に打ち込んでいました。大学受験は浪人したかいあって第一志望の大学に入れたのですが悔しい思いもしたのでその気持ちを晴らすべくひたすら勉強していました。

工事の人は作業着姿の若い男の人でした。工事が終わって帰り際に私に「勉強がんばって下さい」と言いました。私はそんなこと言われると思っていなかったし私が勉強ばかりしているのが部屋の様子からわかったのか予想外の言葉にとてもびっくりしました。その人の顔ももうよく覚えていないのですがとても優しい雰囲気の人だったことは覚えています。私はその時受験で悔しい思いをした自分の気持ちばかり考えてひたすら勉強していましたが初めて勉強をすれば誰かの力になれるのかもしれないと思いました。勉強して世のため人のために働けば回り回って私に勉強がんばってと言ってくれたあの人のために何かできるのかもしれないと思いました。私はその後さらに勉強するようになりました。私が勉強するのは自分ひとりのためだけではないのだと思いました。でもまずは自分のことから始めようと思いました。結局、色々なストレスが重なったからか大学卒業後にすぐ入院になりました。

今、あの男の人のことを思い出して私はあの人の力になれているのだろうかと思いました。まずは自分のことからと思ってひとまず税金やら年金やら一通り払えるようになりましたがあの人の力になれているのかはわかりません。勉強は自分のためにやることですが自分のためだけではないのだと思います。私の中のあの男の人の勉強がんばって下さいという優しい声がまだ頭の中に響いています。